こんにちは。株式会社NCコンサルティングの大橋高広と申します。
「管理職研修・人事制度設計」の専門家として活動しております。
さて、第5回目となる今回は「人事制度の見直し」についてお話しします。人材育成や技能承継、また採用力の強化などに向けて、人事制度を見直そうという会社が増えています。また「人的資本」の情報開示が話題となる昨今、今まさに取り組むべき課題といえます。
人事制度は次の3つで構成されています。
1.等級制度:社員をどのような基準で格付けするのかを決め、その基準に基づいて社員を格付けするための制度。
2.評価制度:一定期間の社員の成果や行動を評価する仕組みを定めた制度。「何を評価するか」という評価基準を明確にすることによって、社員の行動を方向付けていきます。
3.賃金制度:基本給や賞与、諸手当等を決定するための制度。
これらの制度がうまく機能していないと、社員の離職が増える(会社に合わない社員ばかりが残る)、社員のモチベーションが低下する、人材育成が進まなくなる、といった悪影響が出てきます。問題が表面化していない場合でも、人の問題は潜在化していて、ある時、一気に爆発することがあります。後手にならないためにも、現行の人事制度が自社に合っているのか一度見直してみることをお勧めします。
そこで、人事制度を見直す際のポイントについてお話しします。
1.等級制度
「係が無いのに係長がいる」とか「次長と課長の差は何だろう」とか、そもそも「役職者って、何をしているのだろう」と感じているスタッフは非常に多くいます。本来、会社が果たして欲しいと考えている役割を認識しているスタッフは少ないのが実情です。
そこで、等級制度で見直すべきポイントは「役職の定義を明確にすること」です。例えば、部長・部長補佐・次長・室長・課長・課長代理・班長・係長・主任など、数多く役職を設定している場合、役職の定義が曖昧になっていることが多いです。スタッフが認識できる役職の定義や権限を考察してみてください。
また、マネジメントができない人物が役職者となっているケースをよく見かけます。この場合、職場の問題が増大するリスクが高いといえます。そのため、社歴や感情に流され過ぎない昇格・昇進を実施することを心がけてください。
2.評価制度
「昔からずっと同じ評価基準のまま人事評価をしている」「最新のクラウドシステムを導入したが、日々の仕事内容と乖離がある」「上司がきちんと面談をして、評価決定後の適正なフィードバックと人材育成をしていない」などの課題を抱えている企業様が多く見られます。
評価制度で見直すべきポイントは「現場の実態を把握する」ことです。例えば、今ある評価基準が仕事内容に合っているか確認してみてください。実は評価基準が現場の実態と合っていないケースは数多くあります。また目標管理制度において、目標設定をスタッフに任せているケースでは、設定した目標のレベルがスタッフによってバラバラになっていることがあります。このような場合は無理にスタッフに目標設定をさせずに、会社が目標を設定する方が良いです。また、評価制度には問題がなくても、「適正に実行しているか」把握する必要があります。実は、上司は書類をきれいに仕上げているだけで、職場では面談すらしていないケースもあります。
3.賃金制度
退職希望者の引き留めや中途入社時の面接における賃金交渉などの事情により、賃金がいびつに構成されている企業様があります。必要に応じて対処することは悪いことでは無いですが、「仕事を頑張るより、辞める素振りを見せると賃金が上がったり、希望通りの異動ができたりして良い」などの意見も聞こえてくる場合、見直しが必要なこともあります。
賃金制度で見直すべきポイントは、「コンセプトを明確にする」ことです。例えば、本当は成果主義にしたいけど、反発を恐れて賞与で少しだけ差をつけようという場合、スタッフには年功序列で伝わっています。本当に成果主義にしたいなら、反発が起こることも想定した上で賃金制度を刷新する必要があります。逆に年功序列を打ち出したいなら、退職金を手厚くするのも良いかもしれません。
いずれにせよコンセプトを明確にすると、そのコンセプトに惹かれる人が集まり定着します。和洋折衷のような状態では、特に意識を持たない人が何となく集まってしまうかもしれません。
いかがだったでしょうか。まずは現場の実態を把握し、その上で、より自社に合った内容を検討し見直してください。
また、下記のURLより大橋オリジナルの各種人事ツールを無料ダウンロードしていただけます。人事制度の見直しにご興味のある方は、ぜひご覧ください。
【人事ツール無料ダウンロード】
https://www.ohashitakahiro.com/mail-magazine/
それでは、また次回の記事にてお会いできるのを楽しみにしております。
(文責:大橋高広)